「ノミ屋」とは?

日本で法的に認められているギャンブルである公営競技には、「ノミ屋」と呼ばれるものが存在します。そこで行われる「ニギリ行為」は違法なものですが、その利用者も摘発の対象となります。今回はこのノミ屋について詳しく説明します。うっかりと利用することがないように参考にしてください。

「ノミ屋」とは「私設の投票所」のこと

ノミ屋とは日本の公営競技、いわゆる合法的に楽しめるギャンブルを利用した「私設の投票所」のことです。 ノミ屋は客から賭け金を申し受け、客の予想が当たれば配当金を払い、外れた場合は賭け金を利益として「呑みこみ」ます。ノミ屋の「ノミ」は「呑む」から来ています。また「ニギリ」と呼ばれる事もあります。

競馬や競輪、競艇などの投票券を正規の主催者ではない者が販売するものであり、以下の法律に抵触する違法行為でもあります。

  • 競馬法第30条
  • 自転車競技法第56条
  • 小型自動車競走法第61条
  • モーターボート競走法第65条

ノミ屋が行うノミ行為(あるいは「ニギリ行為)をすると5年以下の懲役刑もしくは500万円以下の罰金刑に課されます。さらにその利用者も摘発の対象となり処罰を受けます。

ノミ屋の存在によるメリットとデメリット

違法行為でありながらも、なぜノミ屋が存在するのか気になると思います。これはノミ行為をする側にも、そしてそれを利用する人にもメリットがあるからです。

客側のメリットとデメリット

ノミ屋を利用する客のメリットは、正規の場外発売場などに足を運ぶ手間がかからないことと、正規の投票券を購入するよりも当たった時の配当を多く得られることです。

通常は公営競技における当選金には25%程度の控除率が設定されています。つまり100円の投票券を購入すると、平均で75円の払い戻しを受けることになります。残りの25円ほどは国や地方公共団体の売上となり、公共事業などにあてられます。

一方でノミ屋はこの控除率を10%ほどに低く設定しているので、100円の投票券を購入すれば平均で90円ほどの払い戻しを受けられるようになります。

このように有利な条件でギャンブルができることが、ノミ屋を利用する人のメリットと言えます。

それに対してデメリットはもちろん、違法行為として摘発される可能性があることです。ノミ屋を利用していることが発覚すれば、100万円以下の罰金が課されます。また購入した投票券が当たりとなり配当金を受け取ろうとしても、ノミ屋が支払いをせずに消息を絶つ可能性もあります。

運営側のメリットとデメリット

ノミ行為をする側のメリットは公営競技を利用して利益を出せることにあります。あらかじめ控除率を設定していることから、理論的には胴元として損をすることはありません。

対してデメリットは当然ですが、違法行為であることから摘発されたら処罰を受けるということです。さらに高倍率の配当となる当たりが出た場合、その配当金の支払いができないケースもあります。これは正規の販売所とは異なり、配当金を支払うのに十分な売上をあげることが難しいことが理由です。

H3:主催者体側のメリットとデメリット

公営競技を主催する側にはノミ行為が行われることに対してのメリットはありません。デメリットとしては売上が落ちることが挙げられます。

ただしネット投票が普及してわざわざノミ屋を利用する必要がなくなったことや、ノミ屋が対応できない高配当の賭け方が増えたことなどを背景に、ノミ屋は減少しつつあります。

ノミ屋の摘発・事件

ノミ屋が摘発される事件や利用者が逮捕されるといった報道はめっきり見なくなりました。直近で報道されたのは2019年3月12日の葛飾区における摘発事件です。

これは飲食店で男性客に競輪の結果を予想させ、賭けさせていたところを現行犯逮捕されたというものになります。1口100円で現金を賭けさせて、月に35万円ほどを売り上げていたそうです。

2013年には大阪府大阪市の民家でテレビ中継を見ながら競艇の舟券を売買していたとして胴元の7人と客の4人が現行犯逮捕される事件がありました。

ノミ屋はイギリスでは合法

日本とは異なり、イギリスではノミ屋は合法となっています。いわゆる「ブックメーカー」です。ブックメーカーとは、スポーツをはじめあらゆるイベントを対象に賭けを私設胴元として受けています。そのオッズもブックメーカーそれぞれが独自に算出して決めています。日本の競馬などもその対象となり、日本のオッズとは異なる条件で賭けることができます。

日本でもこの海外で運営されるブックメーカーのサイトを利用することは可能ですが、現状では合法でも違法でもない「グレーゾーン」となっています。決して法的に認められているわけではないので、その利用は自己責任において行うことが必要です。

ノミ屋とニギリ行為について まとめ

公営競技ギャンブルのノミ屋は現在ではかなり減っていると考えられます。摘発事件がめっきりなくなったのが理由ですが、個人で行なっている可能性はあります。胴元はもちろんのことですが、その利用者も摘発されると逮捕されるので、うっかり利用することがないように注意しましょう。